多重債務に陥るカードローンの危険な使い方と対処法
2003年頃、消費者金融のカードローンやクレジットカードのキャッシングが原因で、多重債務者の増加が社会問題として取り上げられ、2006年に国は貸金業法や出資法の改正などで解決をはかりました。
しかし、多重債務者や自己破産者が完全になくなったわけではありません。
この記事ではカードローンによって多重債務に陥るケースや、対処法について解説します。
多重債務者を減らした貸金業法改正とは
貸金業法は何度となく改正され、以下の規制内容が多重債務者も減少させました。
- 年収の1/3までの貸付制限
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年収の1/3までの貸付を制限する規制が、総量規制です。
総量規制に従って貸金業者が貸付すれば、多重債務者になることはありません。
多重債務者になる最大の原因は、本人の返済能力を超えた過剰融資なのです。
2006年の賃金業法の改正により、国(金融庁)は総量規制を設けました。
現在では消費者金融会社、信販会社、クレジットカード会社などノンバンクと呼ばれる貸金業者の発行するカードローンでは個人に対して返済能力を超えた貸付はできません。
- 個人信用情報機関の役割
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個人信用情報機関の役割は、貸金業者間で金業法の総量規制に必要なローンやキャッシング残高などの会員情報の共有、参照させることです。
個人信用情報機関は現在CIC、JICC、KSCの3社があります。
- CIC(シー・アイ・シー)
- JICC(日本信用情報機構)
- KSC(全国銀行個人信用情報センター)
貸金業者は、審査時利用者のすべてのローン残高やキャッシング枠の有無がわかります。
法改正によって貸金業法の指定信用情報機関であるCICとJICCにすべての貸金業者が加盟、貸金業者間で会員情報の共有が可能になったからです。
すでに年収の1/3に達していれば新規申込は却下され、年収の1/3から残高や利用枠を差し引いた範囲内でカードローンが発行されます。
一方、銀行のローン残高は貸金業者の審査では参照できません。
銀行系個人信用情報機関のKSCには、ノンバンクはほとんど加盟できないからです。
多重債務の原因になる?総量規制の例外と除外とは
以下の融資は、総量規制の例外および除外になります。
- 総量規制の除外
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- 不動産購入または不動産に改良のための貸付(そのためのつなぎ融資を含む)
- 自動車購入時の自動車担保貸付
- 高額療養費の貸付
- 有価証券担保貸付
- 不動産担保貸付
- 売却予定不動産の売却代金により返済できる貸付
- 手形(融通手形を除く)の割引
- 金融商品取引業者が行う500万円超の貸付
- 貸金業者を債権者とする金銭貸借契約の媒介
- 総量規制の例外
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- 顧客に一方的有利となる借換え
- 緊急の医療費の貸付
- 社会通念上緊急に必要と認められる費用を支払うための資金の貸付
- 配偶者と併せた年収の1/3以下の貸付
- 個人事業者に対する貸付
- 預金取扱金融機関からの貸付を受けるまでの「つなぎ資金」に係る貸付
- 借入残高を段階的に減少させるための借換え
- 新たに事業を営む個人事業者に対する貸付け
総量規制の除外や例外は、多重債務の原因となることがあります。
正当な理由とはいえ、過剰な借入を許すものだからです。
たとえば、すでに年収の1/3の貸付を受けている状態だとします。
生活を送るうえで必要な住宅ローンや自動車ローン、医療費のローンは総量規制の除外や例外に該当するため、利用可能です。
そのまま複数の例外や除外の借入をすると、多重債務状態となります。
万が一返済ができなくなれば、多重債務から債務整理が必要な状態にもなってしまうでしょう。
多重債務に陥るのは銀行カードローンの影響も考えられる
銀行カードローンが多重債務の原因となる背景には、消費者金融カードローンの貸付残高を上回っていることがあります。
総量規制の対象は貸金業者です。
総量規制の対象ではない銀行カードローンは、年収1/3を超えた貸付もできます。
よって、現在は規制対象外の銀行カードローンが消費者金融カードローンの貸付残高を逆転し、上回っているのです。
多重債務の解決策
多重債務の解決方法には、おまとめローンと債務整理があります。
- おまとめローン
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銀行のおまとめローンとは、複数の借金をひとつのローンに借り換える商品です。
借金を一本化することで、低金利での長期の返済ができます。
複数のカードローンを利用していても、未払いや延滞をしていないなら、おまとめローンが多重債務への適切な対処方法です。
おまとめローンを利用する場合、2つの注意点があります。
- まとめたカードローンは解約処理すること
- おまとめローンは早めに終わらせること
ひとつでもカードローンを残していると、もう一度使う可能性があります。
まとめたカードローンはすべて解約処理しておきましょう。
また、おまとめローンは長期にすると返済総額がかえって増えてしまうので、なるべく返済期間を短くして早めに終わらせましょう。
低金利のローンを利用すれば、返済期間が短くても返済金額をおさえられます。
おまとめローンのメリット、デメリットを知って上手に利用しましょう。
- 債務整理による対策
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債務整理の場合、早めに弁護士などの専門家に相談するのが重要です。
債務整理には法的に解決する自己破産や個人再生、債権者と話し合って和解する任意整理があります。
専門家なら、自分に適した債務整理方法を提示、進めてくれるでしょう。
依頼する場合にかかる、報酬などの弁護士費用も気にする必要はありません。
任意整理中は債務者への支払いはストップし、弁護士費用は分割でも支払い可能です。
また、弁護士に依頼すれば支払い催促も止まります。
催促のストレスからも解放され、多重債務の解決も早くなるのです。
早期解決にむけて、早めに専門家へ相談し、債務整理を進めましょう。
まとめ
カードローンは銀行系、消費者金融系を問わず、多重債務のリスクが高い金融商品です。
なるべくリボ払いは利用しない、短期・少額の利用を心がけるなど、計画的に利用しましょう。
延滞が発生するような状況になったら、おまとめローンや債務整理など適切な対応を早めに行うのも重要です。
対応が遅れるとカードが強制解約となり一括請求されることになります。
さらに返済が難しくなるため、多重債務の解決に向けて早めに対応しましょう。